霊といってまず思い浮かべるのは何でしょうか?
神仏霊、生き霊、自縛霊、守護霊、背後霊……と、一口に霊といっても様々。
それぞれの霊の解説とともに、電話占い依代の霊能者の心霊体験を連載でご紹介します。
その日は台風が来ていて、外は大雨。希さんが電話占い依代にお電話をくださったときも、受話器の向こうからガラス窓を叩きつける雨の音が絶え間なく聞こえいました。その雨の音とともに、大きな不安を抱えている方特有の波動が受話器越しに伝わってきました。
希さんはお電話をくださったものの、嗚咽のためになかなか声が出せないようです。そこで、脳裏に流れ込んできた希さんの半生について、私のほうからお話しすることにしました。幼少期からのエピソードの一つひとつはとても悲しいもので、お話しているうちに、私の方もつい涙ぐんでしまったほどです。
霊視によると、希さんが小さな頃にご両親は離婚。母親と一緒に暮らしていたものの虐待にあい、児童養護施設に引き取られていたのです。その後の人生もあまり恵まれたものではなく、自活されている今も苦労の連続であることがわかりました。同棲中の彼はヒモのような男性で、希さんのお財布からお金を持ちだしては、あっという間に使い切ってしまいます。そしてそのことをなじると、男性から暴力を振るわれてしまうのでした。
「今、私がお話したことで間違いないですね?」
私が確認をすると、希さんが小さく頷くのが霊視できました。
人生においてこのように不幸続きである場合は、何かしらの原因があるものです。私は霊視でその原因を究明することにしました。すると見えてきたのは、希さんの守護霊です。弱々しくて、とても人間を守護できる立場の霊格にあるとは思えません。守護霊には霊格というものがあり、霊格が高ければ高いほど多くの恩恵が受けられると考えられているのです。ここまで霊視して、希さんの不幸続きの理由が、はっきりとわかった気がしました。
守護霊をさらに霊視していきますと、時代はかなり遡って江戸時代に。髪を日本髪に結った女性がいるのが見えますが、希さんにそっくりです。どうやら、希さんのご先祖様のようですが、この女性も苦労続きの人生だったらしく、悲しそうな顔をしています。商人に女中として奉公に出され、少ない賃金でボロボロになるまで働かされていたようで、若くして病気で亡くなっていました。幼い頃から両親の元を離れて生活し、苦労続きの人生を送っている点が、この女性と希さんとの共通項だといえるでしょう。守護霊と守護される人物とでは、どうしても人生の流れや質が似てきてしまうのです。
ところで、守護霊鑑定で意外なことがわかりました。女中奉公に出ていた先の商人の何世代か後の生まれ変わりが、今の同棲中の彼だったのです。守護霊の生前の関わり合いがあった人物とも、縁が生じてしまうのが怖いところ。過去世では守護霊が過酷な労働を強いられていましたが、現世においてもなお、希さんが金づるにされてしまっているのです。この不幸の流れを断ち切らなければ、希さんが幸せになることは決してないだろう…。私は、希さんの守護霊を交代させようと決めました。
守護霊を交代させるにあたり、重要となるのは「新しい守護霊の選定」と「交代させるタイミング」です。なぜならこの二つの判断を誤れば、かえって不幸になってしまうこともあるから。霊格、生前の性格、職業、趣味、人間関係、恋愛…といった様々なことが、守護された人物に影響することになるので、守護霊選びは慎重に行なわなければなりません。
また、交代させるタイミングが遅くなり、守護霊不在の時間が少しでもあると、そこをタチの悪い霊が勘づき、つけ狙ってくるからです。私は霊界と交信し、希さんのご先祖様のなかから守護霊としてふさわしい霊を探し出し、先程までの守護霊と交換。無事に儀式を終えると、希さんの波動は光り輝き、声も見違えたように明るくなっていました。今日で、希さんは悲しみに彩られた人生に終わりを告げることができたのです。
希さんのマンションに入り浸っていた男性は翌日出て行き、希さんは晴れて自由の身となりました。もう金づるにされることも、暴力を振るわれることもありません。守護霊を交代させることで、希さんを苦しめる人間はいなくなったのです。
未来を予知してみると、新たにつけられた守護霊の才能が希さんに大きな影響を与えることがわかりました。その才能により希さんの道は切りひらかれ、これまでとはまったく違った光り輝く人生を歩み始めることになるのです。また、数年後にはその仕事が縁で誠実な男性と結婚しています。未来で軽やかに笑う希さんの姿が、私の脳裏にくっきりと浮かびました。
守護霊というものは、「守護する人物のことを見守り、危機から救う」「幸せな人生へと導く」といった役割を主に果たすため、一般的に良いイメージだけが持たれがちです。しかし、肝心の守護霊の霊格が低ければ、守護される人物の人生もあまり恵まれたものとはなりません。ようするに、幸福へといざなうパワーが弱くて守護しきれないのです。また、稀に守護霊のついていない人もいて、こういった方は様々な場面において苦労を強いられることになります。守護霊の重要性が、おわかりいただけたでしょうか。